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技術資料
No.T1107 | 2011.11.04

光劣化させたポリエチレン(PE)の分子量測定

概要

SEC(GPC)法を用いることにより、高分子の劣化状態を評価することができます。ここでは、耐候性試験を行った低密度ポリエチレン(LDPE)について、高温SEC(GPC)による分子量測定を行いました。

内容のご紹介

ポリエチレン(PE)は光の照射を受けると、空気中の酸素が関与して自動酸化劣化を生じ、やがて分子鎖切断して分子量が低下することが知られています。今回は、サンシャインウエザーメーターを用いて一定時間光を照射したLDPE板について分子量測定を行いました。

1.試料 : 市販の低密度ポリエチレン(LDPE)板 (Mw=11万)
2.耐候性試験条件
  装置 :サンシャインウェザーメーター(スガ試験機製)
  ブラックパネル温度 :63±3℃
  降雨サイクル :無し
  照射時間 :0時間(未処理),200時間,400時間,600時間
3.分析条件 
装   置 : HLC-8121GPC/HT (東ソー製)
カ ラ ム : TSKgel GMHHR –H(20)HT (7.8mmφ×30cm) 3本 (東ソー製)
溶 離 液 : 1,2,4-トリクロロベンゼン+0.05%-BHT
カラム温度 : 140℃
流   速 : 1mL/min
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 300μL

3.結果

各LDPEの光照射面をサンプリングして分子量測定を行った結果を図1に示します。また、光照射時間と重量平均分子量(Mw)との関係を図2に示します。光照射時間が長くなるにつれて、分子量が大きく低下することがわかります。
これらの試料について、FT-IRを用いてカルボニル量の測定を行いました。得られた相対カルボニル強度([カルボニル基の吸光度]/[メチレン基の吸光度])と重量平均分子量Mwとの関係を図3に示します。カルボニル基の生成量と重量平均分子量Mwは良い相関が見られました。この結果から、光の照射によって酸化劣化を生じ、分子量が低下したと考えられます。
このように、高分子の劣化を評価する手法として、SEC(GPC)法による分子量測定は有効な手段と考えられます。


図1 耐候性試験を行ったLDPEの分子量分布曲線


図2 光照射時間と重量平均分子量の関係


図3 相対カルボニル強度と重量平均分子量との関係

 

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