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技術資料
No.T1209 | 2013.02.15

HPLC法によるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の分離

概要

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ポリマーの分離については、サイズ排除モード(SEC)による分子量測定が中心となっています。しかし、一般の有機化合物と同様に、順相モードや逆相モードによる分離を用いることにより、様々な情報を得ることが可能となります。ここでは、溶媒グラジエントHPLC法を用いたエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の分離についてご紹介します。

内容のご紹介

共重合組成の異なるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)について、グラジエントHPLC法による測定を行い、これらの溶出挙動について確認しました。

分析条件

カ ラ ム : TSKgel ODS-80Ts (4.6mmφ×25cm) (東ソー製)
移 動 相 : アセトニトリル/クロロホルム移動相による溶媒グラジエント
検 出 器 : 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 0.8mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 10μL

試料

組成の異なる市販のエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)
・酢酸ビニル含有量:18~80wt% 7試料
  (EVA-18, EVA-28, EVA-33, EVA-40, EVA-45, EVA-50, EVA-80)
・ポリ酢酸ビニル 1試料
  (PVAc)

結果

得られたクロマトグラムを図1に示します。今回用いた測定条件では、まずポリ酢酸ビニル(PVAc)が溶出し、ついで酢酸ビニル含有量の高いEVAから順に溶出しました。
これらの試料について、ピークトップ保持時間と酢酸ビニル含有量(mol%換算)との関係を図2に示します。EVAについては、保持時間と酢酸ビニル含有量(mol%換算)とは良好な直線関係が得られました。溶媒グラジエントHPLC法を用いることにより、共重合組成の異なるEVAを分離できることが明らかとなりました。なお、今回用いた分離条件では、EVAが溶出した際の移動相中のクロロホルム/アセトニトリルの組成は、臨界吸着点(critical point of adsorption)の組成と一致し、EVAの分子量には依存せずに溶出していることが明らかとなっています1)
また、図2でPVAcが直線から外れている理由は、PVAcは今回の移動相では一致する臨界吸着点が達成できず、サイズ排除機構で溶出したためと考えられます。
1) 香川, 岡﨑, 伊藤, 分析化学, 59 (9), 793 (2010)

【図1】溶媒グラジエントHPLCによる各EVAのクロマトグラム
(EVA試料の数字は酢酸ビニル含有量(wt%)を示します)
【図2】各EVAのピークトップ保持時間と酢酸ビニル含有量(mol%)との関係
:EVA, :PVAc)
適用分野
プラスチック・ゴム
キーワード
GPEC(Gradient Polymer Elution Chromatography)、エチレン-酢酸ビニル共重合体

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