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技術資料
No.T1508 | 2015.09.29

価電子帯スペクトルを利用したGCIB-ESCAによる深さ方向分析

概要

Arガスクラスターイオン銃(GCIB)を搭載したESCAでは、有機積層膜の深さ方向組成及び化学状態分析が可能です。また、価電子帯スペクトルを利用することにより、内殻スペクトルでは区別が困難なポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)を識別可能です。下記構成のラミネートフィルム(図1)に適用した例について紹介します。
※構成:ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリエチレンテレフタレート(PET)

【図1】ラミネートフィルムの層構造

分析事例

(1)内殻スペクトルを利用した深さ方向分析

GCIB-ESCAによる深さ方向分析結果を図2、3に示します。C1sスペクトル(図2)、組成(図3)ではPP及びPEの区別が困難なため、PP/PE界面を特定することができません。

(2)価電子帯スペクトルを利用した深さ方向分析

GCIB-ESCAによる深さ方向の価電子帯スペクトル変化を図4に示します。3種(PP、PE、PET)の異なるスペクトルパターンが得られ、それぞれ区別することが可能です。
さらに、各成分のスペクトルを最小二乗法でフィッティングし、深さ方向における各成分の割合を算出した結果を図5に示します。価電子帯スペクトルを用いることにより、内殻スペクトルでは位置の特定が困難なPP/PE界面の分析が可能です。

適用分野
その他有機製品
キーワード
PP、ポリプロピレン、PE、ポリエチレン、PET、ポリエチレンテレフタレート

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