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技術資料
No.T1840 | 2019.02.26

イメージングFT-IRによる配向解析

(2010.1.8改訂)

概要

高分子は容易に加工できる反面、分子配向などの加工履歴が残りやすい。残留する履歴、言い換えると歪が強すぎると製品欠陥となる場合も知られている。
FT-IRは高分子などの有機材料分野で強力な分析ツールである。FT-IRにイメージング機能を加えると、組成分布の情報が得られ、更に、偏光測定を行うと、配向などの状態の分布を評価することが可能となる。
本技術資料では、イメージングFT-IRを用いて容器の分子配向分布を評価した事例を紹介する。 

分析事例の紹介

試料 :ペットボトル(PETボトル)
装置 :イメージングFT-IR(日本分光製)

図1. PETボトルの断面観察像
右図はマッピングの際のメッシュ(5μm□)

【結果】

図1. PETボトルの断面観察像
右図はマッピングの際のメッシュ(5μm□)

図2. 任意のメッシュにおけるFT-IRチャート
吸光度方向にずらして表示した

ペットボトルの肩部分から採取した試料の断面写真を図1に、断面部をイメージング測定した際の任意のメッシュにおけるFT-IRチャートの一例を図2に示す。偏光無、偏光0°(↕)、偏光90°(↔)と偏光状態を変えると、同じ部位のFT-IR分析でも強度が変化している。分子鎖が配向しており、偏光方向と官能基の振動方向が一致しているものほど強く吸収される為である。
CH2縦揺れ振動モードに対応する1340㎝-1はPET分子鎖方向と同じ向きの振動吸収と考えられる。そこで、この吸収強度を偏光無の強度を基準にして規格化した。この規格化により試料厚みの影響を除いた。図3に偏光0°の吸光度を規格し、マッピングした例を示す。

図3.偏光マッピング(0°方向を規格化した図)
色が明るいほど、0°方向に配向している

図3より、PETボトルの外側では0°方向に強く配向しており、外側と内側で状態が異なる事が分かった。成形時の歪が残留した結果だと推定される。
このように、イメージングFT-IRの偏光測定により、フィルムやシート中の状態の違いを明らかにすることができる。このような状態解析は、トラブルの解決などに役立つと考えられる。

 

適用分野
配向解析、状態解析
キーワード
フィルム、シート、基板

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