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技術資料
No.T2015 | 2020.06.18

高磁場NMRによる微量(10µg)有機EL材料の分子構造解析

概要

近年、高感度プローブの開発や高磁場装置の開発が進み、NMRを用いたより微量な有機化合物の解析が可能となってきています。
弊社では1.7mm極低温プローブを装着した700MHz NMRを導入し、各種2次元NMRスペクトルに基づく微量な有機化合物(~10µg程度)の分子構造解析が可能となりました。本技術資料では、微量有機化合物の分子構造解析の事例として、10µg有機EL材料の分子構造解析をご紹介します。

分析事例

有機EL材料は近年、高精細な4Kディスプレイ等に使用されるなど注目されています。その発光色、発光強度や寿命は分子構造に依存することから、分子構造の把握が重要です。1.7mm極低温プローブを装着した700MHz NMRにより、10µgの有機EL材料でも高感度、高分解能な2次元NMRスペクトルを4日程度で測定でき、詳細な分子構造解析ができました(図1)。

【図1】 有機EL材料(10µg)の各種2D NMRスペクトル

各種2次元NMRスペクトルの解析によって得られた有機EL材料の分子構造を図2に示します。このように、10µgの微量な有機EL材料でも詳細な分子構造解析が可能となりました。

【図2】 有機EL材料(10µg)の分子構造解析結果

ここで10µgの有機EL材料は、膜厚を100nmと仮定すると1cm四方の量に相当します。分取HPLCと併用することにより、複層の膜で機能する有機ELパネルについて、構成する有機EL材料それぞれの分子構造解析が可能となります。
また、本技術は他の微量有機化合物全般への適用が可能です。製品や生体試料からHPLC等により分取した微量有機化合物の分子構造と機能の相関解析が期待されます。

適用分野
有機EL材料、微量有機化合物
キーワード
700MHz NMR、1.7mm極低温プローブ、有機EL材料、微量有機化合物、2D 1H-13C HSQC、2D 1H-13C COSY、2D 1H-13C HMBC

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