概要
現在、厚生労働省のシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会において、2-エチル-1-ヘキサノール,テキサノール,TXIB(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート)の3物質が室内空気中濃度の新規指針値策定候補となっています。
一般に、床材,壁紙等の建材からのアウトガスの分析はJIS A 1901「建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定法―小形チャンバー法―」で行われます。
弊社では、試験対象となる建材が実際に施工された室内空間を想定し、従来のJIS A 1901法を適用して室内空気中濃度の新規指針値策定候補となっている3物質の分析へ対応可能です。
新規指針値策定候補物質 |
室内空気中濃度指針値案 [μg/m3] |
2-エチル-1-ヘキサノール |
130 |
テキサノール |
240 |
TXIB |
100 |
分析内容
JIS A 1901法により、建材からのアウトガス中の各物質の放散速度※1を求めます。さらに実際に建材が施工された室内を想定し、デンマークモデル※2を用いた換算式により、室内空気中濃度を放散速度から求めます。
※1 建材表面積1m2あたり、1時間あたりの放散物質量 単位[μg/m2・h]
※2 床面積7m2,,高さ2.5m,換気回数0.5回/時間の室内空間モデル。床材の場合は放散速度に0.8を乗じた値が室内空気中濃度に相当する。
新規指針値策定候補の3物質はガスクロマトグラフ質量分析計により測定します。定量イオンとなるm/z(質量電荷比)は、2-エチル-1-ヘキサノール:57、テキサノールとTXIB:71となります。
テキサノールは6:4の異性体二種混合物であり、クロマトグラムのピークは2つに分かれますので、2つのピークの総和で定量します。
図1に標準物質を測定した際に得られたクロマトグラムを示します。

同手法により建材アウトガス中のシックハウス新規指針値策定候補3物質の定量分析が可能です。