概要
接着界面の機械的結合(アンカー効果)は接着強度の発現に寄与していると考えられており、接着界面の形態(モルフォロジー)観察は重要です。透過電子顕微鏡(TEM)により、ポリオレフィン系基材(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))とポリウレタン(PU)接着剤の界面状態を観察した事例を紹介します。
分析装置・分析方法
装 置 | 電界放出型透過電子顕微鏡(FE-TEM) |
試料作製方法 | ミクロトームによる超薄切片作製(クライオ切削)および電子染色* |
試料
PE基材/PU接着剤
PP基材/PU接着剤
結果・考察
観察結果を図1に示します。PU接着剤中にPEまたはPPの針状物(長さ~数百nm程度)が入り込んでいる様子が明らかになりました。熱処理により形成した界面混合相に針状PO結晶が生じ、これにより接着界面が機械的に強固に固定されると白木ら1)は考察しています。このように、TEMは接着界面の形態観察が可能です。
参考文献
1) Y. Shiraki et al., Macromolecules, 56(2023), 2429-2436
適用分野
プラスチック・ゴム、その他有機製品
キーワード
ポリマー、接着、界面、PE、PP、PO、PU、ミクロトーム、電子染色、形態、TEM