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技術資料
No.T1210 | 2013.02.25

HPLC法によるスチレン-メタクリル酸メチル共重合体の分離

概要

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ポリマーの分離については、サイズ排除モード(SEC)による分子量測定が中心となっています。しかし、一般の有機化合物と同様に、順相モードや逆相モードによる分離を用いることにより、様々な情報を得ることが可能となります。ここでは、溶媒グラジエントHPLC法を用いたスチレン-メタクリル酸メチル共重合体(St-MMA共重合体)の分離についてご紹介します。

内容のご紹介

St-MMA共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)について、グラジエントHPLC法による測定を行い、ランダム共重合体とブロック共重合体の溶出挙動の違いについて確認しました。

分析条件 

カ ラ ム : TSKgel ODS-100V (4.6mmφ×15cm) (東ソー製)
移 動 相 : アセトニトリル/THF移動相による溶媒グラジエント
検 出 器: 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 1mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 10μL

試料

共重合組成の異なるSt-MMA共重合体
・ランダム共重合体  5種類 (試料R1~R5)
・ブロック共重合体  6種類 (試料B1~B6)
ポリスチレン(PS)
PMMA

結果

得られたクロマトグラムを図1(ランダム共重合体とPS、PMMA)、および図2(ブロック共重合体とPS、PMMA)に示します。今回用いたグラジエントHPLC法の測定条件では、まずPMMAが溶出し、ついでスチレン含有量の低い順にSt-MMA共重合体、最後にPSが溶出しました。
図1~2より得られる各ピークのピークトップ保持時間と、各試料中のスチレン含有量(mol%)との関係を図3に示します。図3より、保持時間とスチレン含有量(mol%)とは良好な相関が見られました。
一方、同じスチレン含有量でもランダム共重合体とブロック共重合体では保持時間が異なり、別の曲線となることが確認されました。この結果は、本法を用いると、同一のスチレン含有量を有するランダム共重合体とブロック共重合体であっても、明確に分離できることを示唆しています。
なお、図1、図2でブロードなピーク(R-1、B-2)が見られますが、この理由は、これらの試料は組成分布を有しているためと考えられます。

【図1】溶媒グラジエントHPLCによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ランダム共重合体)
【図2】溶媒グラジエントHPLCによるSt-MMA共重合体のクロマトグラム
(ブロック共重合体)
【図3】St-MMA共重合体のスチレン含有量と保持時間との関係
適用分野
プラスチック・ゴム
キーワード
GPC、GPEC(Gradient Polymer Elution Chromatography)、スチレン-メタクリル酸共重合体

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