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技術資料
No.T1504 | 2015.06.26

樹脂のPVT測定 圧力-体積-温度依存性

概要

樹脂の体積は温度や圧力によって変化します(PVT挙動)。体積変化の様子は一様ではなく、樹脂の特性に応じて複雑な挙動を示します。このような情報は、成形加工だけでなく、樹脂の特性を知る上で有用です。
本技術資料では、ポリオレフィン系樹脂材料である高密度ポリエチレン(HDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の収縮挙動を比較した事例を紹介します。

分析事例

測定は、GÖTTFERT社製 RHEOGRAPH25を使用しました。この装置では、降温速度をほぼ一定に保ちながら冷却できます。樹脂を200℃まで加熱した後、一定降温速度で冷却しPVT挙動を評価しました。
図1に一般的なプレス成形の圧力レベルである圧力40MPaでのPVT挙動を示しました(圧力一定のため、比容の温度依存性になります)。図2に比容収縮率(図1の傾き)の温度依存性を示しました。これらの結果から以下のことが分かります。

・ 溶融状態では結晶の影響がないため、比容収縮率はHDPEとLLDPEでほぼ同じ。
・ 結晶化による比容収縮率の増加は、結晶化温度の高いHDPEの方がLLDPEよりも高温から始まる。
・ 比容収縮率の極大値およびその温度は、融点の高いHDPEの方が大きい。
・ LLDPEでは低温(80℃)付近に比容収縮率が大きくなる領域がある。

上記以外にも図2から、結晶化に伴う収縮率変化が一定値に落ち着くまでの温度はかなり低いこともわかります。HDPEは融点分布が狭く結晶化が早く終了するイメージがありますが、実際には80℃付近まで結晶化による収縮挙動が終了していません(注:これらの挙動は圧力や冷却速度依存性があります)。
温度と圧力による比容変化を解析することにより、成形加工に役立つ情報が得られます。

 

適用分野
熱物性、成形加工、PVT
キーワード
プラスチック、樹脂、HDPE、LLDPE、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン

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