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技術資料
No.T2312 | 2023.10.12

AFM-IRによるケン化EVAの組成分布解析

概要

 エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(ケン化EVA)は、エチレン、酢酸ビニル、及びビニルアルコール単位を有する三元共重合体のことであり、樹脂改質剤や接着剤として用いられています。【図1】に示すように、ケン化EVAは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)をケン化処理することによって得られます。今回測定したケン化EVAは相分離構造を有していました。そこで、AFM-IRを用いて、各相の組成分布を可視化した事例をご紹介します。

化学構造式
【図1】EVA、およびケン化EVAの構造

装置構成

 空間分解能10nmでケミカルイメージングが可能な次世代AFM-IRです(装置紹介 A2301)。

結果

 AFM-IRを用いて、酢酸ビニル(C=O1737cm-1)、およびビニルアルコール(OH3400cm-1)のケミカルイメージングを行ったところ、それぞれの存在領域が、明確に分かれることが分かりました。従ってケン化EVAは、未ケン化領域とケン化領域に相分離していることが確認できます。

【図2】 左,中:波数イメージング(明るいほど強度が高い)、右:重ね合わせ像
【図2】左,中:波数イメージング(明るいほど強度が高い)
右:重ね合わせ像

まとめ

 AFM-IRを用いたケミカルイメージングにより、ケン化EVAは、未ケン化領域とケン化領域に相分離していることが明らかとなりました。

 

適用分野
プラスチック・ゴム、その他有機製品、食品包装材
キーワード
EVA、ケン化EVA、共重合体、AFM-IR、PiFM、光誘起力顕微鏡、ケミカルイメージング

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