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技術資料
No.T2511 | 2025.09.12

アミン水溶液のCO₂ガス吸収熱測定

概要

 アミン水溶液はCO2と高い反応性を示すことが知られており、CO2分離・回収設備に活用されています。
 ここでは、反応熱量計【図1】を用いて、一般的な各種アミン(モノエタノールアミン[MEA]、ジエタノールアミン[DEA])水溶液にCO2を吸収させた際の反応【図2】について、CO2吸収熱量や吸収量を測定した事例を紹介します。

【図1】反応熱量計

【図1】反応熱量計

【図2】MEA、DEAのCO2吸収反応

【図2MEADEACO2吸収反応

分析方法・分析装置

 反応容器の模式図を【図3】に示します。アミン水溶液を反応容器に投入し、測定温度(40 )で撹拌しながらCO2ガスを流通しました。CO2吸収量は、ガス吹込みの入り口と出口に設置したフローメーターの流量差から算出しました。

反応熱量計

メトラートレド社製 RC1mx

反応温度

40 ℃

雰囲気

常圧 大気下(仕込み時)

攪拌翼

ピッチブレード

CO2流量

250 mL / min.

【図3】反応容器の模式図 

【図3】反応容器の模式図 

結果

 アミン水溶液(MEADEA)の測定結果を【図4】、【表1】に示します。また、CO2吸収前後の比熱測定の結果を【表2】に示します。

【図4】測定チャート[左 : 反応熱、右 : 累積CO2吸収量]

【図4】測定チャート[ : 反応熱、右 : 累積CO2吸収量]

【表1】反応熱量測定の結果

試料名

MEA

DEA

30 wt%水溶液

室温 [℃]

25

反応温度

(設定温度) [℃]

40

試料仕込量 [g]

500

CO2吸収量 [L]

32

21

反応

熱量

総発熱量 [kJ]

122

65

エンタルピー

[kJ / CO2 mol]

82

66

【表2】比熱測定の結果

試料名

MEA

DEA

30 wt%水溶液

温度[℃]

40

比熱

CO2吸収前

[J / (g・K)]

4.0

3.9

CO2吸収後

[J / (g・K)]

3.6

3.6

 【図4】より、MEADEAと比べて、CO2吸収熱や吸収量が大きい傾向が得られました。また、【表1】の反応熱量に示すように、総発熱量をCO2 1molあたりのエンタルピーに換算すると、MEA82kJ/CO2 mol、DEAは66kJ/CO2 molとなり、異なる値が得られました。これはCO2吸収により異なるカルバメートが生成するためと考えられます(【図2】参照)。尚、本測定によりCO2吸収前後での比熱の値も得られます【表2】。

まとめ

 反応熱量計を用いて、MEADEACO2ガス吸収反応を追跡した結果、MEADEAと比べて、CO2吸収量や総発熱量、エンタルピーが大きい傾向でした。このようにCO2ガス吸収熱測定により、各熱量データやCO2吸収量を把握出来ます。また、反応過程の生成物を解析するため、吸収液を採取してNMRなど他の分析に供することも可能です。

適用分野
有機材料、高分子材料、SDGs関連
キーワード
反応熱量計、反応熱、CO₂吸収、比熱

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