概要
アミン水溶液はCO2と高い反応性を示すことが知られており、CO2分離・回収設備に活用されています。
ここでは、反応熱量計【図1】を用いて、一般的な各種アミン(モノエタノールアミン[MEA]、ジエタノールアミン[DEA])水溶液にCO2を吸収させた際の反応【図2】について、CO2吸収熱量や吸収量を測定した事例を紹介します。

【図1】反応熱量計

【図2】MEA、DEAのCO2吸収反応
分析方法・分析装置
反応容器の模式図を【図3】に示します。アミン水溶液を反応容器に投入し、測定温度(40 ℃)で撹拌しながらCO2ガスを流通しました。CO2吸収量は、ガス吹込みの入り口と出口に設置したフローメーターの流量差から算出しました。
反応熱量計 | メトラートレド社製 RC1mx |
反応温度 | 40 ℃ |
雰囲気 | 常圧 大気下(仕込み時) |
攪拌翼 | ピッチブレード |
CO2流量 | 250 mL / min. |

【図3】反応容器の模式図
結果
アミン水溶液(MEA、DEA)の測定結果を【図4】、【表1】に示します。また、CO2吸収前後の比熱測定の結果を【表2】に示します。
![【図4】測定チャート[左 : 反応熱、右 : 累積CO2吸収量]](https://www.tosoh-arc.co.jp/wp-content/uploads/2025/09/t2511_04.png)
【図4】測定チャート[左 : 反応熱、右 : 累積CO2吸収量]
試料名 |
MEA |
DEA |
|
30 wt%水溶液 |
|||
室温 [℃] |
25 |
||
反応温度 (設定温度) [℃] |
40 |
||
試料仕込量 [g] |
500 |
||
CO2吸収量 [L] |
32 |
21 |
|
反応 熱量 |
総発熱量 [kJ] |
122 |
65 |
エンタルピー [kJ / CO2 mol] |
82 |
66 |
試料名 |
MEA |
DEA |
|
30 wt%水溶液 |
|||
温度[℃] |
40 |
||
比熱 |
CO2吸収前 [J / (g・K)] |
4.0 |
3.9 |
CO2吸収後 [J / (g・K)] |
3.6 |
3.6 |
【図4】より、MEAはDEAと比べて、CO2吸収熱や吸収量が大きい傾向が得られました。また、【表1】の反応熱量に示すように、総発熱量をCO2 1molあたりのエンタルピーに換算すると、MEAは82kJ/CO2 mol、DEAは66kJ/CO2 molとなり、異なる値が得られました。これはCO2吸収により異なるカルバメートが生成するためと考えられます(【図2】参照)。尚、本測定によりCO2吸収前後での比熱の値も得られます【表2】。
まとめ
反応熱量計を用いて、MEAとDEAのCO2ガス吸収反応を追跡した結果、MEAはDEAと比べて、CO2吸収量や総発熱量、エンタルピーが大きい傾向でした。このようにCO2ガス吸収熱測定により、各熱量データやCO2吸収量を把握出来ます。また、反応過程の生成物を解析するため、吸収液を採取してNMRなど他の分析に供することも可能です。