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装置紹介
No.A2503 | 2025.12.18

固体粘弾性測定装置

概要

 高分子レオロジーで扱われる評価項目の一つに、動的粘弾性があります。この測定では、試料に周期的なひずみ(正弦波)を与えたときに生じる、応力とひずみの値、および、その位相差(応力ひずみ関係における周期の遅れ)を測定することで、貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”、損失正接tanδ(=E”/E’)を求めます。装置は固体向けと溶融状態(液体)向けに大別されます。
 固体粘弾性測定装置は、高分子フィルムやゴムシート等に広く利用されます。ガラス転移温度、架橋点間分子量【技術資料No.T1016、および活性化エネルギー【技術資料No.T1109が評価可能です。

装置

【表1】固体粘弾性装置仕様・性能
装置

株式会社ユービーエム製

Rheogel E4000

試験項目 温度依存性、周波数依存性等
治具 引張、圧縮、せん断等
温調範囲 -150 ~ 400℃
周波数 0.1 ~ 1300Hz(正弦波)
【図1】装置外観

【図1】装置外観

分析事例

ガラス転移温度

 ガラス転移温度(Tg)とは、高分子が硬いガラス状態から、軟らかいゴム状態に変わり始める温度のことです。Tgの測定は示差走査熱量計(DSC)による比熱変化から求める手法が一般的です。一方、動的粘弾性測定では損失正接tanδ(tanδ=E”/E’)または損失弾性率 E”のピークとしてTgを捉えることができ、材料の力学的応答に基づく転移挙動を把握可能です。
 【図2】にPETの温度依存性(温度分散)測定の結果を示します。100~150℃付近にE”およびtanδのピークが観測され、この温度域でガラス転移が生じていることが推定されます。

【図2】貯蔵弾性率E’(△)、損失弾性率E”(□)、損失正接tanδ(●)の温度依存性

【図2】貯蔵弾性率E()、損失弾性率E()、損失正接tanδ()の温度依存性

 固体粘弾性測定装置では、固体試料の温度や周波数に対する応答やガラス転移温度など、様々な特性を把握することができます。

 動的粘弾性を含めた高分子レオロジーの基礎については、技術資料「[基礎講座]高分子レオロジー入門」全4回(T1705T1709T1720T1801)を参照ください。

適用分野
高分子材料、プラスチック、ゴム
キーワード
粘弾性、温度依存性、ガラス転移温度

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