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技術資料
No.T1013 | 2013.10.01

成形部材の伸長粘度 配向の影響

概要

プラスチックの成形性を予測するのに粘弾性測定は欠かせません。粘弾性測定の中でも伸長粘度は大変形領域の測定が可能であり、成形性と密接に関係します。
伸長粘度においては非線形性と呼ばれる粘度の立ち上がりが重要な指標となりますが、この立ち上がりの位置や大きさは測定条件に強く依存します。本技術報告では市販の低密度ポリエチレン(LDPE)を例にとり、試料中の残留歪が伸長粘度に影響を与える例をご紹介します。

分析事例の紹介

残留歪の影響を検討するため、予備歪として予め所定の歪を与えて100秒間保持(緩和時間)した後に伸長粘度を測定しました。
通常の試料及び、予備残留歪を与えた試料の測定結果を図1に示します。
通常の試料(白抜き黒点で表示)の伸長粘度は時間の経過とともに増大し、ある時間に達すると強い立ち上がりを示しています。
予備歪を与えた試料の伸長粘度の立ち上がり位置は短時間側にシフトし、予備歪が3になると高さも小さくなりました。これは試料中の予備歪(残留歪)が伸長粘度の挙動に強い影響を与えることを示しています。
図2に予備歪3を与え、緩和時間を100~800秒まで変えた試験結果を示します。緩和時間を長く取ると伸長粘度は初期の挙動に近づいていきますが、緩和時間を800秒間としても完全には元に戻っていません。予備歪が2の場合は800秒で完全に元に戻ることが別の実験で確認されたことから、予備歪の緩和は歪量と関係することが示唆されます。
ここで示したように試料中の残留歪は伸長粘度に強い影響を与えることが分かります。試料の特性を正しく評価するには極力、残留歪がない試料を準備することが重要です。

【図1】 予備歪量の影響
【図1】 予備歪量の影響
【図2】 緩和時間の影響
適用分野
プラスチック・ゴム、食品包装材
キーワード
プラスチック、ブロー成形、ラミネート、大変形、ヒステリシス

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