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技術資料
No.T1104 | 2011.02.17

HPLC法によるアクリル系ポリマーブレンド試料の分離

概要

 HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、順相モード、逆相モード、サイズ排除モードなど、いくつかの原理に基づいた分離が行われています。ポリマーの分離については、サイズ排除モード(SEC)による分子量測定が中心となっています。しかし、一般の有機化合物と同様に、順相モードや逆相モードによる分離を用いることにより、様々な情報を得ることが可能となります。ここでは、逆相モードを用いたアクリルポリマーの分離についてご紹介します。

内容のご紹介

 各種アクリルポリマーのブレンド試料について、グラジエントHPLC法による測定を行いました。

分析条件

カ ラ ム : TSKgel ODS-80Ts (4.6mmφ×25cm) (東ソー製)
移 動 相 : アセトニトリル/THF移動相による溶媒グラジエント
検 出 器 : 蒸発型光散乱検出器(ELSD)
カラム温度 : 40℃
流   速 : 1mL/min.
試 料 濃 度  : 1mg/mL
注 入 量 : 10μL

試料

ポリメタクリル酸メチル (PMMA), ポリメタクリル酸エチル (PEMA),ポリメタクリル酸ブチル (PBMA),
ポリメタクリル酸シクロヘキシル (PCHMA), ポリメタクリル酸エチルヘキシル (PEHMA),
ポリメタクリル酸ラウリル (PLMA), ポリメタクリル酸メチル (PMA), ポリメタクリル酸エチル(PEA)
計8種類のブレンド

結果

 得られたクロマトグラムを図1に示します。今回用いたグラジエントHPLC法の測定条件では、ほとんどのアクリルポリマーは分子量によらず、組成の違いのみで分離されていると考えられます。グラジエント条件(A)ではPEMAとPBMAが分離できていませんが、グラジエント条件(C)を用いることにより、PEMAとPBMAも分離され、8種類のアクリルポリマー全てが分離できました。
 なお、最初に溶出したPMAはピークがテーリングしていますが、これについて、今回の測定条件では、PMAのみがサイズ排除モードで溶出してしまうため、高分子量から低分子量の順に溶出したためであることが2次元HPLC法を用いて確認されています。
 グラジエントHPLC法を用いることにより、分子量分布を有するポリマーのブレンドについても、その組成の違いによって分離することが可能となり、様々なポリマーブレンド試料の分離に応用できることが期待されます。

【図1】グラジエントHPLC法によるアクリルポリマーブレンド試料の測定例

【図1】グラジエントHPLC法によるアクリルポリマーブレンド試料の測定例

 

 

キーワード
GPC、アクリルポリマー

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