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技術資料
No.T1115 | 2011.11.11

プラスチックへの気体透過の現象論の解説Ⅳ

透過の形式について

概要

気体透過性についてシリーズで解説しています。気体の無孔性膜への透過を溶解拡散機構で説明することを述べ、透過係数の求め方を示しました。今回は、拡散機構について述べます。

「【技術資料】 高分子の知識  気体透過性について(3) 透過係数の求め方」で、透過係数の求め方を示しました。この際、気体透過の機構が膜中の拡散がフィック(Fick)型であることが前提でした。フィック型拡散は拡散係数が濃度のみの関数であるか、あるいは濃度に依存しないときに成立します。吸収実験を行って、フィック型拡散であるかどうかを確認することができます。フィック型拡散であれば、次のような特徴を示します。

  • 1) 吸収初期あるいは脱着初期に膜の重量を時間の0.5乗にプロットすると直線となる。
  • 2) 直線領域より長時間側では、吸収曲線は横軸に対して凹となる。
  • 3) 拡散係数が濃度と共に増加する系では吸収曲線は脱着曲線の上に位置する。拡散係数が濃度の減少関数であれば、吸収曲線は脱着曲線の下に位置する。吸収曲線と脱着曲線が交差することは無い。
  • 4) 初期濃度、最終濃度を同じにすると、膜厚みXが変化しても、吸収曲線は一致する。

 

無孔性膜における気体透過では、非フィック型の機構で透過する場合があることがわかっています。
非フィック型の拡散には
・異常拡散過程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シグモイド型吸収曲線

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二段階吸収曲線

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・擬フィック型吸収曲線

・CaseⅡ拡散
が知られています。

シグモイド型級数曲線は、図1(b)に示したように、吸収曲線がシグモイド関数で記述できます。

図 1 フィック型吸収曲線(a)とシグモイド型吸収曲線(b)

Mは低分子の吸収量、Mは平衡時の吸収量、Xは膜厚み、は測定開始からの時間を示します。
CaseⅡ拡散では固体表面に明確な膨潤層が形成され、それと内部コアとの境界線が一定速度で内部へ進展します。その際、吸収量が吸収初期において時間の0.5乗ではなく、に比例する挙動を示します。

【参考文献】
CASEⅡ拡散について
“Diffusion in Glassy Polymers”: T.Alfrey, Jr., E.F.Gurnee, W.G.Lloyd, J.Polym.Sci.PartC, 12, 249 (1966)
“ポリメチルメタクリレートのアルコール吸収におけるCASEⅡ拡散挙動”, 川越 誠, 川越 みゆき, 中西 誠, 邱 健輝, 高分子論文集, 59, 93 (2002)

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