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技術資料
No.T1116 | 2011.11.18

プラスチックへの気体透過の現象論の解説Ⅴ

等圧法と差圧法の測定の説明

概要

気体透過性についてシリーズで解説しています。低分子の透過およびその機構について述べてきました。シリーズの最後に、透過実験での差圧法と等圧法について解説します。

下の図は、「【技術資料】 高分子の知識  気体透過性について(1)低分子の透過現象」の図1と同じ概念図です。


図 1 透過現象のイメージ

ある空間を隔膜で仕切って、二つの室に分けても、必ずそれぞれの室での自由エネルギーが等しくなるように変化が起こります。これが、透過現象の本質です。
気体透過の測定では、A室を一定の圧力の気体分子で充満し、B室に流れ出してくる気体の透過量を測定することになります。この際、測定前に不活性ガス(ヘリウムなど)でA室とB室を充満し、A室とB室の圧力を同じにしてから、A室に試料気体を注入して、透過を測定する方法が等圧法です。測定開始前にA室とB 室を真空にしてから、A室に気体を注入するのが差圧法です。
また、透過実験でのデータ解析はB室へ透過してくる気体分子の濃度(圧力)が0とみなせるとして行われます。したがって、透過性の低い試料は特に問題ありませんが、透過性が高い試料の場合B室の気体分子の濃度(圧力)が0とはみなせなくなります。その場合、B室の気体分子をサンプリングなどにより、気体分子を排出する工夫をする必要があります。
等圧法の測定方法の一例を図2に示しました。
等圧法では、セルやサンプリングループを十分脱気したあと、上流側セルのA室と下流側セルのB室とサンプリングループに所定の圧力の不活性ガスを充満します(①)。その後、瞬間的に試料気体を上流側セルA室に導入し、サンプリグループへ気体を透過させます(②)。一定の時間経過後、サンプリングループに溜まった試料をヘリウムなどのフッ活性ガスによって検出器へ押し出します(③)。その後サンプリングループをヘリウムによって洗浄した後(④)、再びバルブを開きサンプリングループへ透過した気体を導入します。

図 2 等圧法での測定の一例

 

差圧法の測定の一例を図3に示しました。
差圧法では、セルやサンプリングループを十分脱気した後(①)、下流側セルB室が真空のまま、上流側セルA室に瞬間的に試料気体を導入し、サンプリングループへ気体を透過させます(②)。一定の時間経過後、サンプリングループに溜まった試料をヘリウムなどの不活性ガスによって検出器へ押し出します(③)。その後サンプリングループを真空にして、再びバルブを開きサンプリングループへ透過した気体を導入します(④)。

図 3 差圧法の測定の一例

図2や3での検出器にはガスクロを用いる場合や、質量分析装置(MS)を用いることがあります。特に前者は混合気体(混合ガス)の透過を正確に調べることができる方法です。
ガスクロを検出器とする方法は様々な研究者が提案していますが、国内で最も初期の報告であると思われる文献1)を紹介しておきます。

【参考文献】
1) “混合気体・蒸気の透過測定装置の試作” 内倉昌樹, 小谷壽, 倉田道夫, 高分子論文集, 39, 149 (1982)

 

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