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技術資料
No.T1118 | 2011.11.11

プラスチックの紡糸性溶融張力の評価(2)

概要

溶融張力とは、加熱・溶融した樹脂を引張った際に発生する張力です。MFR(メルトフローレート)が粘性の指標であるのに対し、弾性の指標として、紡糸性、ブロー成形性などの成形加工性の一次評価として用いられます。本技術資料では、低密度ポリエチレンを用い、測定条件を変えたときの挙動について紹介します。

分析事例の紹介

図1に測定装置の概略図を示しました。一定流量で押出された樹脂は滑車を介して引き取り、張力を測定します。ダイ出口には、必要に応じて温調が可能なチャンバーを取り付けることもできます。
溶融張力の測定には、①引取り速度一定で計測する方法、②引取速度を徐々に増加させながら計測する方法、があります。
図2に②の方法で計測した結果の一例を示しました。横軸は、押出流量と引取速度から求めた延伸比、縦軸は溶融張力です。引取速度を大きくすると延伸比は大きくなります。延伸比が増加するに従って、溶融張力は徐々に増加しますが、あるところから一定値を示します。さらに延伸比を増加させると、溶融張力は激しく振動し、やがて破断します。破断した時の引取速度(または延伸比)をドローダウン性という加工性の指標とすることもあります。
図には押出流量を変えた2水準の測定結果を示しています。押出流量以外のパラメータが同じにもかかわらず、曲線形状や平衡値が異なっています。そこで、樹脂を引取らずにダイ出口での溶融樹脂の直径を測定し、断面積で溶融張力を規格化しました。その結果を図3に示します。規格化によって曲線はほぼ重なり、押出流量を変えた測定結果が異なる値を示したのは、押出流量によってスウェル比が異なる事が一因であることが分りました。

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