ホームchevron_right技術資料一覧chevron_right質量分析chevron_rightICP-MSchevron_right固相抽出を利用した微量金属成分の分析(ICP-MS)
技術資料
No.T1120 | 2013.10.01

固相抽出を利用した微量金属成分の分析(ICP-MS)

概要

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)は、Arプラズマでイオン化された原子を質量分析計に導入することにより元素の同定・定量を行う方法です。溶液中の多くの元素に対しppt~ppqレベルの測定感度が得られます。しかし、溶液中に金属マトリックスを含む場合、マトリックス成分由来のスペクトル干渉が対象成分の定量値に影響することが問題となります。スペクトル干渉を回避するため、前処理におけるマトリックス分離について検討しました。

分析事例の紹介

マトリックス溶液中の微量成分をICP-MSで分析する場合、隣接する質量数のピークの影響を受ける場合があります。一例として、Mnマトリックス溶液中のFeの分析事例について紹介します。
Mnマトリックス溶液のマススペクトルを(1)希釈法、(2)固相抽出法(キレート樹脂)で各々測定しました(下図参照)。希釈法では、マトリックス成分のMn(m/z=55)及び多原子イオン(55Mn1H+)のピークが、Fe(m/z=54, 56)のピークに干渉することが判明しました。そのため、希釈法ではMnマトリックス溶液に含まれる微量成分のFeを定量するのが困難です。(※(1)希釈法のスペクトルにおいて、m/z=55前後は検出器飽和のため計測不可)
一方、固相抽出法ではMnマトリックスの除去により、Mn及びFeのピークに対するスペクトル干渉を回避することが可能です。また、標準添加サンプルにおけるFeの回収率は90%以上と良好でした。

図 ICP-MSによるMnマトリックス溶液のマススペクトル(左:(1)希釈法、右:(2)固相抽出法)
図 ICP-MSによるMnマトリックス溶液のマススペクトル(左:(1)希釈法、右:(2)固相抽出法)

 

参考資料
高田 智明、プラズマ分光分析研究会 第83回講演会講演要旨集(2011)

適用分野
その他無機製品
キーワード
二酸化マンガン

CONTACTぜひ、お問い合わせください

弊社の分析技術について、納期やコストについてご検討の方は、
お問い合わせフォームより問い合わせください。