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技術資料
No.T2218 | 2023.01.13

HPLCで用いられる検出器 その1

概要

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)はGC、IC、GPC(SEC)等、数あるクロマトグラフィーの中でも代表的な分離分析手法であり、GCでは分析が困難な高沸点化合物や熱分解性化合物等を分析可能であることから一般に広く用いられています。
HPLCの分離モードについては技術資料T2215をご参照ください。本技術資料では、HPLCでよく使用される検出器についてご紹介します。

検出の原理と測定例

HPLCは、デガッサー、送液ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、検出器等の機器から構成されます(図1)。検出器は文字通り分離された成分をピークとして検出する部分であり、最も重要な機器の一つです。HPLC検出器には表1に挙げたような検出器が市販されており、測定化合物や目的に応じて使い分ける必要があります。本技術資料ではその一部について原理・測定例を示します。

【図1】 HPLC装置構成の概略図

 

【表1】 主なHPLC検出器一覧

1) 紫外・可視吸光光度検出器(UV(-Vis)検出器)

フローセル内を通過する測定成分に光源からの光を照射し、その吸収をモニターします。190~700nm程度(紫外~可視光)の範囲から任意に設定した波長の吸収をピークとして検出するため、芳香環や二重結合を有する有機化合物等、UV吸収を持つ化合物の検出に用いられます(図2)。色素等の色を持つ成分については、可視光領域の対応する波長を使用することでピークとして検出することができます。

【図2】 BCFN(電子材料)のHPLCクロマトグラム (UV検出器)

BCFN :
N-([1,1′-biphenyl]-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine

2) 多波長検出器(PDA検出器)

多波長検出器はフォトダイオードアレイ(PDA)検出器とも呼ばれ、UV検出器では任意に設定した1波長(或いは2波長)の測定に限定されるのに対し、190~800nm程度の任意の波長範囲のクロマトグラムを同時に測定することができます。時間、強度、波長の3次元データが取得できますので、解析の切り口を変えることで特定の波長のクロマトグラムや特定の時間のUV-Visスペクトルを得ることができます。例としてメラミンのクロマトグラム(3次元表示)を図3に示します。任意の波長(ここでは214nmと238nm/水色)での断面がその波長でのクロマトグラムとなり、測定成分の各波長のクロマトグラムを出力可能です(図4)。また、任意の時間(ここでは6.1分/黄色)での断面はその時点のUV-Visスペクトルとなり、ピークの定性に役立ちます(図5)。

【図3】 メラミンのHPLCクロマトグラム (3次元表示/PDA検出器)



【図4】 メラミンのHPLCクロマトグラム (各波長/PDA検出器)

【図5】 6.1分のピーク(メラミン)のUV-Visスペクトル (PDA検出器)

3) 示差屈折率検出器(RI検出器)

前述のUV、PDA検出器は、測定成分に紫外あるいは可視光吸収がないと感度が得られません。そういった化合物の検出に役立つのがRI検出器等の汎用検出器です(図6)。RI検出器では、参照セルに満たした溶離液との屈折率の差を検出するため、カラムからの溶出成分があれば原理上あらゆる成分を検出できますが、感度や安定性が低いこと、ベースラインが大きくドリフトするためグラジエント測定ができないこと等が欠点です。

4) 電気伝導度検出器(CD)

無機アニオンや有機酸など、溶離液中でイオンとなる成分に対しては電気伝導度検出器が有効です。電気伝導度検出器は測定成分がカラムから溶出した際の電気伝導度の変化をピークとして検出します。感度低下の原因となる溶離液の電気伝導度を下げるため、カラムと検出器の間に設置したサプレッサー(例:イオン交換樹脂)でイオン交換し溶離液由来イオンの解離を抑制することで、高感度を実現しています(図7)。

【図7】 無機アニオンのICクロマトグラム (電気伝導度検出器)

まとめ

今回、HPLCの検出器として4種の検出器(UV検出器、PDA検出器、RI検出器、電気伝導度検出器)をご紹介しました。測定対象化合物の性質(UV吸収や電気伝導度があるかどうか)や含有濃度、HPLC条件(グラジエント分析か否か)等に応じて最適な検出器を選択することが重要です。

適用分野
医薬品・化粧品・農薬、その他有機製品
キーワード
紫外・可視吸光光度検出器、UV検出器、多波長検出器、PDA検出器、示差屈折率検出器、RI検出器、電気伝導度検出器、CD

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