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技術資料
No.T2503 | 2025.05.22

膨潤固体NMRによる架橋ニトリルゴムの組成分析

概要

 高機能・高性能なゴム関連製品の開発において、ゴムの分子構造と物性との関連性を把握することが重要です。固体NMRでは材料をそのまま測定できるため、溶媒に不溶な架橋ゴムの構造解析や組成分析が可能です。本資料では、膨潤固体NMRによる架橋ニトリルゴム(NBR)のモノマー組成分析事例をご紹介します。

試料及び分析内容

 NBRは、アクリロニトリル(AN)とブタジエン(BD)とが共重合した合成ゴムで、モノマー組成の変化により耐油性、耐熱性、耐寒性等の物性が変化します。架橋NBRのモノマー組成解析を行うため、定量的な評価が可能な13C DDMAS NMR測定を行いました。また、CDCl3で膨潤させた試料を測定に用いました。

分析方法・分析装置

分析方法

13C DDMAS NMR

分析装置

400MHz NMR

結果

 CDCl3で膨潤した架橋NBR13C DDMASスペクトルを示します【図1】。膨潤により分子運動性を向上させることで、通常の固体試料()に比べ高分解能なスペクトルが得られました。120140 ppmを拡大すると【図2】、ピークbでは配列の異なる成分が分離して観測されました(AANBBD)1) ANBDのピーク積分比より、モノマー組成はANBD = 2278でした。

【図1】架橋NBRの13C DDMAS NMRスペクトル

【図1】架橋NBR13C DDMAS NMRスペクトル

【図2】スペクトル拡大図(120~140 ppm)

【図2】スペクトル拡大図(120140 ppm)

まとめ

 膨潤固体NMRにより、不溶なゴムやエラストマーの高分解能スペクトルを取得することが可能です。通常の固体NMRでは困難な、モノマー組成や配列解析等への応用が期待されます。

参考文献

1) B. G. Willoughby, Polym. Test., 8, 45(1989).

適用分野
高分子材料
キーワード
膨潤固体NMR、モノマー組成、連鎖分布

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