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技術資料
No.T1821 | 2018.08.06

FE-TEMによるジルコニアの添加元素分布解析

概要

ジルコニアセラミックスは組成や焼成の温度などを変えることでさまざまな性能を持たせることができます。ランタン(La)をジルコニア(ZrO2)に固溶させることで結晶粒子のナノ組織構造を制御し、強度及び透光性を兼ね備えたセラミックス(La添加ジルコニア:図1)が開発されました1)
この新しいセラミックスのナノ組織をFE-TEMにより解析した例を紹介します。

図1透明ジルコニア
セラミックス

装置

○集束イオンビーム(FIB) 機種:SMI-3050   日立ハイテクノロジーズ製
○電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM) 機種:JEM-2100F 日本電子製

結果

La添加ジルコニアは、複数の結晶相が混在しており、ナノオーダーの元素分布も存在すると考えられています。そこで、FIB法により薄片化した試料をFE-TEM観察、STEM/EDS元素マッピングにより元素分布を確認しました。
はじめに電子線回折図形を取得したところ、従来の高強度ジルコニア(3mol%イットリア添加ジルコニア)と同様に立方晶および正方晶ジルコニアの2相が混相している結果が得られました(図2)。   
次に、図2を測定した方向から元素マッピングを行った結果、Laの高濃度領域(立方晶)および低濃度領域(正方晶)が数十nm単位で存在する様子が観測されました(図3)。
以上より、ナノサイズ混相構造の存在を確認できました。高強度要因となる混相構造が、光波長よりも小さいサイズであることで光散乱も抑制でき、強度及び透光性が両立できたと考えられます。

参考文献
1) I. Yamashita, Y. Machida, S. Yamauchi, TOSOH Research & Technology Review, 60, 69(2016)

適用分野
無機材料、構造解析、形態観察
キーワード
セラミックス、ジルコニア、添加元素

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