概要
アミンはアンモニアの水素原子が炭化水素基に置き換わった有機化合物であり、多様な用途で使用されています。水中の微量アミンはGC、GC-MSでは検出が難しく、分析方法が限定されます。本技術資料では、高速液体クロマトグラフィー–四重極型質量分析計(LC-QMS)による微量アミンの定性および定量についてご紹介します。
分析方法
各種アミンを溶解および希釈し、LC-QMS測定を行いました。
分離モード:イオンペア逆相
結果
1)各種アミンの定性分析
図1 にアミンのMSクロマトグラムを示します。検出されたイオンの質量および標準物質の溶出時間から各種アミンの定性分析が可能です。
【図1】各種アミン(アンモニア)のMSクロマトグラム
2)各種アミンの定量分析
図2 にトリエタノールアミンのMSクロマトグラムと検量線を示します。定量分析では感度を向上させるため、SIMモード(目的のイオンに限定することにより、感度を向上させる分析モード)で測定しました。濃度1 ppbにおいてもピークが明瞭に検出され、ppbオーダーで良好な検量線が得られました。
【図2】トリエタノールアミンのMSクロマトグラム(SIM)と検量線
| 成分 | 定量下限(測定液) | 成分 | 定量下限(測定液) |
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ジエチルメチルアミン |
1ppb |
アミノエチルピペラジン (AEP) |
1ppm |
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トリエタノールアミン |
1ppb |
ジエチレントリアミン (DETA) |
1ppm |
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トリエチルアミン |
10ppb |
トリエチレンテトラミン (TETA) |
1ppm |
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トリメチルアミン |
50ppb |
テトラエチレンペンタミン (TEPA) |
1ppm |
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エチレンジアミン (EDA) |
500ppb |
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まとめ
LC-QMSを用いて各種アミンの定性および定量分析(ppb~ppmオーダー)が可能です。分離にHPLCを用いることで、GCでは検出困難であった工業排水等、水中の微量アミンの定量に有効と考えられます。
適用分野
SDGs関連、環境分析、化粧品、食品、その他有機製品
キーワード
LC-MS、HPLC、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン