概要
電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)は、試料表面に集束させた電子線を走査することによって、試料から放出される二次電子などを検出し、試料表面の形態や組成の違いを観察することができます。電界放出形電子銃を用いているFE-SEMは従来のSEMに比べ、低加速電圧・高分解能での観察も可能です。
装置
日本電子製 JSM-7600F
・電 子 銃 : ショットキー電界放出形電子銃
・対物レンズ : セミインレンズ方式
・観 察 倍 率 : ~300,000倍 (低ダメージ観察,無蒸着観察が可能)
・分 解 能 : 1nm (15kV)
・電子検出器 : 上方二次電子検出器、 下方二次電子検出器、 反射電子検出器
検出器による観察結果の違い
・上方二次電子検出器 二次電子を上方の検出器で検出し、上から光を当てたような影のない像が得られます。形状と組成の両方を反映した観察像となります。
・下方二次電子検出器 試料の側面方向に放出される電子を検出し、試料の横方向から光を当てたような像が得られます。主に形状を反映した観察像となります。
・反射電子検出器(組成像) 反射電子を検出します。反射電子の量は原子番号依存性が大きい為、重い元素ほど明るく見える組成を反映した観察像が得られます。
観察事例の紹介
1.鉛筆の芯の観察
鉛筆の芯は黒鉛と粘土を混ぜ合わせて作られています。
上方二次電子検出器では、鉛筆の芯の表面は比較的平坦であり黒鉛と粘土は明確には区別できませんでした。反射電子検出器では、黒鉛と粘土の組成の違いにより明るさが異なって観察されています。そのため黒鉛と粘土の分布が明瞭に観察されています。
キーワード
鉛筆、鉛筆の芯、黒鉛、粘土