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技術資料
No.T2217 | 2023.01.06

MALDI-TOF/MSによるウレタンメタクリレート系接着剤の解析

概要

ウレタンメタクリレート(アクリレート)は様々な用途に使用されるUV硬化型樹脂であり、一般的にはイソシアネートとポリオールからなるウレタン結合と複数のメタクリル基(アクリル基)を有します。設計の自由度が高く、原料の組み合わせにより物性や用途が大きく変わるため、原料の解析は重要です。ウレタンメタクリレート系接着剤について、MALDI-TOF/MSにより解析した例をご紹介します。

分析方法

市販のウレタンメタクリレート系接着剤をマトリックス及びイオン化助剤と混合し、試料プレート上に滴下・乾燥させてMALDI-TOF/MS測定に供しました。(MALDI-TOF/MSの測定原理は技術レポートNo. A2201参照)

結果

測定した接着剤のMSスペクトルを図1に示します。図1では、m/z 561を起点としてm/z 224間隔のイオンが検出されました(●)。イオンの間隔から、ウレタンの原料であるMDIの繰り返し構造であることが分かり、末端構造(+付加イオン)(=R+R’+Na)はm/z 337と推測されました。また、m/z 440付近にはm/z 44間隔のポリエチレンオキサイド構造を有するメタクリレートと推定されるイオンが検出されました(▲)。

【図1】 接着剤のMALDI-TOF/MSスペクトル

MS/MS測定では特定のイオンを選択し、フラグメントイオンを得ることができます。図2では更なる構造情報を得るため、m/z 561及び m/z 785をプリカーサーイオンとしたMS/MSスペクトルを測定しました。その結果、複数のフラグメントイオンが検出されました。

【図2】 接着剤のMS/MSスペクトル

図2にて得られたフラグメントイオンから推測される構造を図3に示します。ウレタン結合やエステル結合は開裂しやすく、フラグメントイオンとして検出されやすい構造です。m/z 127のフラグメントイオンはC7H11O2であると考えられ、メタクリル酸ヒドロキシプロピルであることが推測されました。その他のフラグメントイオンに関しても、図3 に示すような開裂で説明が可能です。従いまして、この接着剤に含まれるウレタンメタクリレート成分はメタクリル酸ヒドロキシプロピルとMDI由来であると推定されました。

【図3】 接着剤の推定構造とフラグメント

まとめ

ウレタンメタクリレート系接着剤をMALDI-TOF/MS解析およびMS/MS解析することで、繰り返し単位、末端構造を推定できました。このように、MALDI-TOF/MS解析およびMS/MS解析によってオリゴマー成分の構造を解析することができます。

適用分野
接着剤、粘着剤、塗料、その他有機材料
キーワード
ウレタンメタクリレート、ウレタンアクリレート

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