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技術資料
No.T2607 | 2026.07.02

赤外分光装置(FT-IR)によるIn-situ分析

概要

 赤外分光法(IRInfrared Spectroscopy)は、物質に赤外線を照射しその吸収特性を測定することで、分子構造や官能基の情報を得る分析手法です。また、触媒材料の構造解析に利用される手法の一つに、実際の使用状況を模擬した環境下での赤外分光測定、即ちIn-situ FT-IR分析があります。
 弊社では真空やガス流通下での高温測定が可能な透過法及び拡散反射法のアタッチメントと、それらに連動する赤外分光装置を保有し、プローブ分子吸着による酸点評価や官能基の温度変化等、触媒材料のIn-situ分析が可能です。

機器紹介

1)赤外分光装置

装置

Thermo Fisher社製 Nicolet Apex

測定法

透過法、拡散反射法

測定波数範囲

7800~350cm-1

最高分解能

0.25 cm-1

検出器

DTGS / MCT

【図1】赤外分光装置の外観

【図1】赤外分光装置の外観

2)原理及び測定手法

 FT-IRの概略図を図2に示します。試料に光源から赤外光を照射し、透過または反射してきた光を検出、分光します。その後、フーリエ変換により赤外吸収スペクトルを取得できます。
 FT-IRの特長として試料の状態(固体・液体・気体)に関わらず測定可能であり、データベースが豊富のため未知試料の定性分析に強い点が挙げられます。

【図2】FT-IRの測定原理(概略図)

【図2】FT-IRの測定原理(概略図)

 FT-IRの測定手法には大きく分けて透過法、反射法、顕微鏡測定の3種類があり、その中で更に細分化されます(表1)。
 最も一般的な透過法は、赤外光を試料に透過させて赤外吸収スペクトルを得る手法で、試料の調製方法により錠剤法、ヌジョール法、KBrプレート法等と呼ばれます。
 反射法は試料に赤外光を照射し反射光を検出する手法で、正反射法、ATR法、拡散反射法等が知られています。この中で、拡散反射法は粉体試料をそのまま測定出来る有力な手法です。
 試料の測定箇所を指定可能な顕微鏡測定では、数ミクロン~サブミリ程度の微小領域の赤外吸収スペクトルが得られます。
 尚、測定原理等はFT-IRと異なりますが、当社ではナノオーダー領域の測定が可能なAFMAtomic Force Microscope-IRも所有しています(No.A2301参照)。

【表1】FT-IR測定手法

測定手法

測定の種類

特徴

透過法

錠剤法

ヌジョール法

KBrプレート法

測定試料に光を照射し、透過してくる光を検出する手法

試料を光が透過するため、試料は薄いことが望ましい

反射法

正反射法

高感度反射法

ATR法

拡散反射法

測定試料に光を照射し、反射してくる光を検出する手法

サンプリングの必要性が比較的少ない

粉体のまま測定が可能

顕微鏡測定

顕微反射法

顕微透過法

顕微ATR法

数ミクロン~サブミリ程度の微小な領域の測定が可能

AFM-IR

IRレーザーを照射しながらAFM探針(カンチレバー)を

走査することで、赤外応答を検出しイメージング(分解能:約10nm)

3)In-situ分析

 図3に示すアタッチメントの使用により各種雰囲気(真空、不活性ガス、大気等)下で試料を加熱しながら測定(透過法及び拡散反射法)出来るため、触媒材料の酸点の種別(No.T1306No.T2431参照)や官能基の温度変化(No.T1205参照)等を詳細に解析可能です。また、昇温と保持を何回も繰り返す等の複雑な温度プロファイルにも対応可能です。
 当社保有装置の特長を生かして、ゼオライト、シリカ、セラミックス等の詳細な加熱挙動の追跡や実使用環境における触媒材料の評価が可能ですので是非ご相談ください。

【図3】アタッチメントの詳細及び分析事例

【図3】アタッチメントの詳細及び分析事例

適用分野
セラミックス、ゼオライト、触媒、その他無機製品、その他有機製品
キーワード
FT-IR、赤外分光、透過法、拡散反射法、ピリジン吸着、ブレンステッド酸点、ルイス酸点、B酸点、L酸点、水酸基、シラノール

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