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技術資料
No.T2606 | 2026.06.02

自動標準液添加装置を活用した高純度硫酸中の微量金属分析

概要

 半導体分野に用いられる高純度硫酸は、品質管理の観点からppt(10-12g/mL)レベルの微量金属分析が必須です。しかし、硫酸は沸点が高いため加熱濃縮が難しく、また手作業による希釈調製ではpptレベルの分析は困難です。本資料では自動標準液添加装置を活用することで、高純度硫酸中の微量金属分析が可能となりましたので紹介します。

分析装置・分析方法

 本分析では、硫酸によるICP-MS測定の非スペクトル干渉を補正するため、分析試料に標準液を段階的に添加し検量線を作成する標準添加法を採用しています。標準液の添加操作に自動標準液添加装置を使用することで、人の手を介することなく操作を行えるため、下記の利点があります。

① 高い再現性と検量線の相関性(手作業の添加操作で発生する調製誤差の排除)
② 人・環境由来汚染の低減(閉鎖系の流路内で分析試料と標準液を混合)

分析事例

 10倍希釈した高純度硫酸(希釈後濃度約10wt%)に手作業または自動標準液添加装置で標準液を段階的に添加し、ICP-MS24元素を測定しました。人・環境起因の汚染しやすい3元素(NaKCa)の検量線を図1に示します。手作業では検量線の直線性が悪く定量性が不十分であるのに対し、自動標準液添加装置の使用により3元素いずれもバックグラウンドが低く、直線性を示す相関係数R値は0.999以上の良好な値が得られました。

【図1】高純度硫酸希釈溶液の検量線(左からNa, K, Ca)

【図1】高純度硫酸希釈溶液の検量線(左からNa, K, Ca

 自動標準液添加装置使用時における24元素検量線(020ppt)の相関係数(R)および高純度硫酸原液の定量下限(LOQ)を表1に示します。いずれの元素も20ppt以下の低濃度域で良好な直線性(R値)を示し、定量下限はpptレベルでした。

【表1】高純度硫酸(10倍希釈液)の検量線のR値およびLOQ

【表1】高純度硫酸(10倍希釈液)の検量線のR値およびLOQ

まとめ

 自動標準液添加装置を接続したICP-MSにより、高沸点の高純度酸(硫酸、リン酸など)に含まれる微量金属をpptレベルで定量可能です。また、低沸点の高純度薬液(超純水、硝酸、塩酸等)は加熱濃縮でさらに低濃度域(1ppt以下の定量が可能です(No.T2220参照)。

適用分野
電池・半導体材料
キーワード
電子材料、高純度試薬、微量分析、微量成分分析、検出限界

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