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技術資料
No.T2006 | 2020.05.18

ゼオライトの結晶構造解析1(電子線回折法)

概要

 ゼオライトは吸着材や触媒基材に使われる材料です。結晶構造が吸着性能や触媒性能に影響を及ぼすため、構造把握は重要ですが、透過電子顕微鏡(TEM)観察時の電子線照射にて容易に結晶が壊れてしまうために、微細構造観察は難しいとされています。
 一方、TEMの機能の一つである制限視野電子線回折は、弱い電子線照射でも結晶構造解析が可能です。今回、AFX型とCHA型の連晶ゼオライトについて、電子線回折図形測定により、結晶を壊さずに連晶構造を確認した結果を紹介します。

試料

ゼオライト粉末(図1):AFX/CHA連晶ゼオライト
連晶ゼオライトは複数種類のゼオライトが連続的に接合した構造を持っています(図2)。

装置と分析手法

装  置 : FE-TEM
分析手法 : 制限視野電子線回折

結果

 粉末粒子(六角形の板状)の側面方向から電子線回折図形を測定した結果、図3aに示す図形が得られました。AFX([100]入射)のシミュレーションパターン(図3b)と面間隔が一致し、AFX構造の存在が確認されました。また、回折図形のc* 軸方向にストリーク(回折スポットの一定方向への伸び)が観察されていることから、c軸方向にAFX/CHA連晶構造に起因する結晶構造の乱れが存在すると考えられます。

【図3】(a)制限視野電子線回折図形 (b)AFX型ゼオライトのシミュレーション回折図形
適用分野
無機材料、構造解析、形態観察
キーワード
ゼオライト、触媒、吸着材、シリカ

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