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技術資料
No.T1701 | 2017.04.11

半導体材料の結晶構造解析(逆格子マップ)

概要

半導体材料として窒化ガリウム(GaN)単結晶薄膜が注目されています。GaN系半導体材料ではGaNの結晶方位がその材料特性に影響します。本技術資料ではGaN系半導体材料の結晶方位を『X線回折法による逆格子マップ測定』で評価しました。

逆格子マップ測定

結晶にX線を照射すると、原子の並びに対応したX線の回折現象が生じます。X線回折法では、この回折X線を検出することで、原子の周期間隔(格子面間隔)や結晶方位に関する情報を取得することが出来ます。
『X線回折法による逆格子マップ測定』では【図1】のように、膜の垂直方向~斜め~水平方向に観測されるすべての回折X線を測定し、それらを組み合わせた2次元の強度マップを作成します。この2次元の強度マップを逆格子マップと呼び、検出された回折線の位置関係から結晶方位を評価可能です。

【図1】逆格子マップ測定

これまで、逆格子マップ測定は高輝度な線源を持つ放射光施設で行うのが一般的でした。しかしながら近年では、広い検出面積を持つ2次元半導体検出器を用いることで、ラボのX線回折装置でも短時間で逆格子マップを測定出来るようになりました。

分析事例(GaN系半導体材料)

GaN系半導体材料に対して、2次元半導体検出器を搭載したX線回折装置を用いて逆格子マップ測定を行いました。観測された逆格子マップを【図2】に示します。図中に赤丸で囲んだ明るい点がGaN由来の回折線です。この回折線の位置関係からGaNの結晶方位を評価しました。

 

試料の垂直方向ではGaNのa(b)軸の面指数が100→200→300と変化しました。このことから、試料の垂直方向はGaNのa(b)軸に対応していることが分かりました。また、試料の水平方向ではGaNのc軸の面指数が100→101→102と変化しました。このことから試料の水平方向はGaNのc軸に対応していることが分かりました。

以上の結果から、試料中のGaNの結晶方位を【図3】のように決定しました。
このように、逆格子マップでは薄膜材料の結晶方位や配向度を評価可能です。

適用分野
半導体、液晶材料
キーワード
半導体、GaN、X線回折(XRD)、逆格子マップ、結晶構造解析

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